裕也とあの先輩が上手くいっていないことは明らかだった。
裕也の話に先輩のことが出てこなくなった。それに心から笑っていないように感じた。

いつも曇りがかかっている。俺が好きな裕也じゃない。

そんな辛そうな裕也を俺は見たくなかった。いつまでも幼い子供のような輝く笑顔でいてほしかった。
そして、そのために俺がやらなければいけないことはわかっていた…。

「先輩。」
俺はあの野球部の先輩に声をかけた。裕也が好きな先輩に…。

「君はこの前の裕也の、、、」

「はいそうです。この前はすみませんでした。」

「いや、別にいいよ。俺が悪かったんだから、、、」

「率直に言うと、先輩は裕也のことまだ好きって言いきれますか?」
この問いは俺にとっても最後の賭けだったのかもしれない…。

「うん。俺は今でも裕也のことを愛してるよ。これからもこの気持ちは変わらない。」
先輩は戸惑うことなく応えた。

(『愛してる』か。俺もこんなに素直に生きていけたら、、、いや、もうそんなことは考えてもしょうがないか…。)

「そうですか、じゃあちょっと時間ください。俺が何とかしますから。今日の放課後は裕也と帰ります。」

「わかった。ごめん俺が頼りなくて。裕也を笑わせてやれなくて、、、」
先輩は薄々気づいていたのかもしれない。俺が裕也のことを好きだということに、、、

そして俺は部活へと行った。相変わらず裕也は心ここにあらずといった感じだった。
部活が終わっても部室の外で俯いて立っている。

「裕也。」
俺が声をかけると気だるそうに顔をあげた。そして俺は裕也を引きずるように帰った。
連れてきたのはあの公園だ。なぜかここでなくてはいけない気がしたからだ。

そして俺は裕也に問いただした。あの先輩のことを好きなのかを…。すると裕也は迷いなく即答した。「うん。」と。あの先輩のことを愛していると、、、

唇を噛むと血の味が口の中に広がった…。






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