今日の部活も身が入らない。
それは先輩を求めていた時のような満たされたものではなかった。
心の一部が欠落しているようなもの寂しさを感じる。

いつも通りグラウンドを走ってパス練習をしてシュート練習をしてノルマだけをこなしていく。
サッカーが面白くない…。というか何をやっても面白くなかった。

友達と話していようが家でテレビを見ていようが何をしても面白くない。
心だけがどこかずっと遠くへ行ってしまったようだった。

いつも通り監督に集合をかけられ練習の反省をして解散する。
変わりのない毎日が続いているような錯覚。時間だけが過ぎていくような虚無。

着替え終わって先輩を部室の外で待つ。もう日は西に傾いていた。

「裕也。」
俯いていると声をかけられた。その声の主は先輩ではないことはすぐわかった。そして、誰なのかも…。

顔をあげるとそこには思ったとおり良太がいた。厳しそうな表情だった。

「裕也。帰るぞ。」

「えっ!でも先輩と僕は帰るから、、、」

「いいから、帰るぞ。」
そう言って良太は僕の腕を強引に引っ張った。僕は振りほどこうとしたが、それは敵わなかった。良太に引きずられるように連れて行かれる。
そんな良太に声をかけたがそれも一切無視された。そして連れてこられた場所はあの公園だった。

「なに良太?」

「このごろお前先輩と上手くいってないだろ。見ててわかる。」

「そっか、良太はそう思うんだ…。実際自分自身わかんないんだ。前よりも一緒にいる時間は増えたし、先輩のことも知れた。
…だけど先輩の『存在』が遠くなって気がするんだ。」

「そうか、わかんないのか。じゃあ裕也、1つだけ聞くな、先輩のことまだ好きって言いきれるか?」

良太はそう聞いた。その質問に対する答えは決まっていた。
この気持だけは変わっていない。先輩を想うこの気持は…。

「うん。」
僕はそう即答した。そう応えた時の良太は複雑な表情をしていた…。






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