お風呂からあがると携帯に新着メールを表す光がともっていた。
『竜也:話がある』
さっきのことでちょっと話があるから明日部活終わったあとでいいから時間くれ。
メールの内容はそれだけの短い内容だった。けれど簡潔に述べてあるからこそ重く感じた。
『さっきのこと』とは先輩を竜也が抱いていたことだ。
あの時僕が竜也に先輩のことが好きなのかと訊いたら竜也は骨を鳴らしながら『違う』と答えた。良太の言う通りなら竜也は先輩のことが好きだ。
でも、先輩は言ってくれた。『お前のことが1番だ。竜也のことは何とも思ってない』と。
決心はできていた。竜也にどう言われようが先輩のことを信じて、、、好きな人を信じて揺るがないと…。
次の日の学校は授業の内容が全く頭に入らなかった。外を見つめその先にある放課後のことを考えていた。
そしてその時は刻一刻と近づいていた。
部活中も練習に身が入らなくっていたとき、今日初めて良太から話しかけられた。
「昨日どうなった?まだ考えごとしているみたいだけど…。」
「ううん、大丈夫。先輩とはちゃんと仲直りできたし、、、でも、、、」
「竜也か。どうせ話があるとか言われてるんだろ?」
「やっぱ良太には隠し事できないな。ちょっと竜也に呼び出されて部活が終わったらね…。」
「俺はいない方がいいよな。どうする?どっか他の場所で待っとく?それとも先に帰った方がいいか?」
「ごめん先に帰ってて。長くなるかもしれないし、、、」
そう言うと良太は納得して何も言わずに練習へと戻った。それを僕は力なく見ていた。
それから程なくして監督から練習の終了を告げる集合がかけられた。
監督の話が終わってすぐに部室に向かって着替えをして野球部が終わるのを待った。
野球部が終わって部室に戻ってきた時に先輩と目があったが雰囲気を読んだのかそのまま野球部の部室へと入って行った。
しばらく部室の外で待っていると竜也が出てきた。
「行こうか。」
竜也はそれだけ言うと足早に先を歩いた。
その背中は大きく逞しかったが何か疲れているような気がした。
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