試合が終わり監督から今日の試合の反省が伝えられた。けれどもそんなものは頭に入らなかった。

もう負けてしまった。あの人に絶対勝たせてあげようと思ったのに。あの人との最後の試合だったのに…。

監督の反省が終わって卒団式を兼ねたバーベキューが行われた。
試合には負けたものの、みんな最後だからと言ってはしゃいだ。大人はお酒を飲み子供は肉に食らいついた。

そんな賑やかな中、俺は泣きそうになっていた。あの人との最後の試合がこんな結果に終わってしまうなんて…。

みんなが騒いでいる中隅の方に座っているとあの人がいきなり座った。

「竜也、おつかれさま。負けっちゃったな。」

「貴博くんごめん。俺のリードの仕方が悪くて、、、最後の試合だったのに、、、」

「そんなことないよ。このチームにキャッチャーできる奴はお前しかいないんだから、今までありがとな。」

「貴博くんごめん。…うっ、、、ぅぐ、、、」
俺はとうとう泣いてしまった。あの人が隣にいるのに泣いてしまった。

「竜也、泣くなよ。こっちまで泣きそうになるだろ、、、泣くなって。」

「でも、貴博くん、、、」

「俺のためにそんなに泣いてくれるなんてお前かわいいなぁ。背は俺より高いけど弟みたいだな。」

「貴博くんの弟になれたらよかったのに…。」

「はは、嬉しいな。でも最後だから1つだけいい?」

「? なに?」

「もっとチームのこと大切にしろよ。今日あいつがエラーしたとき睨んでたろ?」

「うん…。でも最後の試合は貴博くんに勝ってほしかったから、つい、、、」

「そっか、ありがとうな。ほんと竜也はかわいいな。」
その時の貴博くんは輝くような笑顔だった。俺なんかよりずっと悔しいはずなのに。

そしてその時もう気付いていた、この気持が憧れなんて感情ではないことを…。
もっと深く深くこの人のことを想っていることを…。






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