「裕也。俺がお前を護ってやるから辛いことがあったら頼ってくれよな。俺はお前の味方だからな。」
そうだ、良太はいつも僕を見てくれていた。僕を護ってくれていた。ずっと…。

枕から顔を離して良太の顔を見てみる。その顔は小さい子をなだめるような優しい表情だった。また不意に涙がこぼれてきた。

「良太…。僕、先輩のこと信じてたのに、それって僕だけだったのかなぁ。」
僕は顔を涙でくしゃくしゃにしながら言った。そんな僕を良太はぐっと力強く抱いた。
背中を優しくさすってくれる。涙が止まらない。
流れ出た涙は良太の制服へと吸い込まれていく。だが、そんなことは考えていられなかった。

「…先輩、竜也と…抱き合ってた。何にも言ってくれなかった…。」
息が荒くなって言葉が途切れ途切れになる。うまくしゃべることができない。

「大丈夫。大丈夫だからな。俺が何とかしてやるから。どんなことしても…。お前が笑えるようにしてやる。」
良太は腕により一層力を入れて誓うようにしっかりと僕に言った。

「…良太。僕…どうしたらいいのかな…?」

「裕也は何も心配しなくていい。でもその代わり泣かないでくれよ。そんな悲しい顔しなくていいようにするから…。」
そう言うと良太は僕の頬に流れる涙を手で拭ってくれた。その時机に置いてあった携帯からメールの着信音が流れてきた。
画面に「貴博」の文字が映し出される。その文字を見ると良太は僕の携帯を手に取り「ごめん」と一言だけ言ってメールを開いた。

「この前の公園ってどこ?」
メールを見ると突然良太は聞いてきた。この前の公園とはあの夜の公園だろう。それを良太に伝えると「待ってろよ。」とだけ言って良太は出て行った。

部屋には良太の匂いが、そして頬には良太の優しい手の感触が残っていた…。






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