僕が先輩のことを好きなのがばれたのは仕方のないことかもしれない。
だって僕は部活中も先輩を見ていたことがあるから。でも何で竜也まで先輩のことが好きだなんて言いきれるのだろう。

「なんでそんなことがわかるの?」

「まあ裕也の場合はずっと見てたから…。」
良太は1人ごとと言っていいほど小さく呟いたので、その言葉を僕は聞き取れなかった。

「あの日、前に委員会があった日俺と竜也で部室の前に待ってただろ?」
あの日のことだ。先輩と僕が互いに気持を伝えあった日だ。

「あの時、竜也に何でプリント渡すためだけに待ってるか聞いたら、『別に頼まれただけ。』って言ったんだよ。その時、竜也が骨を鳴らしてた。」

僕は、良太がなにを言っているのかわからなかった。
「骨?」

「そう、骨。あいつ何か嘘ついたり隠し事したりするときに骨を鳴らす癖があるんだよ。」

「…そんなの気付かなかった。でもそれだけ?」

「ほかにも野球部の話する時にあいつ、いつもあの先輩のこと話してた。」

「そっか。良太がそこまで確信してるなら間違いないんだろうな。」
思いもしなかった。竜也が先輩のことを好きだなんて。
それに自分と同じ同性愛者がこんなにも身近にいるなんて。

僕は急に不安になった。先輩が自分の前からいなくなってしまうのではないかと…。
竜也と先輩は同じ野球部だ。
少なくとも僕よりかは一緒にいる時間は長いし、先輩の気持ちが変わってしまわないという確証はない。

「ごめん良太。やっぱり今日帰れない。」
僕はそれだけ言い残すと学校へと今来た道を引き返した。後ろから良太が悲しい顔をして、見つめているとも気付かずに…。

学校に着くともう、どの部活も終わって帰っていた。すれ違いになったのかもしれないと思いつつも部室棟へと行ってみる。

もう部室にも電気がついていなくて暗かったが1つの人影を見つけた。それは後姿から竜也だということがわかった。
だが、僕が話しかけようとしたその時、その人影が1つではないことに気がついた。

竜也の大きな体に隠れて分からなかったが、その大きな体に小さな先輩がしっかりと抱き込まれていた…。






[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -