委員会は何事もなく無事に終わった。と言っても何も心配していなかったけど…。
僕は委員会が終わるとすぐに部活に行った。
先輩を待とうとしたが、先輩に片付けがあるから先に行っといてと言われたからだ。

部室にはもう人はほとんどいなかった。もうグラウンドに出てパス練習などをしている頃だろう。
僕も急いで練習用のサカパンに着替える。そして部室にあるベンチに腰かけてスパイクの紐を固く結ぶ。
結び終わりグラウンドに行こうと立ち上がると目の前には良太の姿があった。

「良太、まだグラウンドに行ってなかったの?」

「まだって、裕也も今来たばっかじゃん。」

「まぁそうだけど…。良太は委員会入って無いじゃん。」

「委員会に入って無くても用事はある!…それより部活終わった後、時間ある?」

「あるけど何で?」

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど…。」

「良太が相談なんて珍しいね。いつもはこっちが話聞いてもらうのに。」

「うん、ちょっとね…。」
そう言った良太の顔はとても悲しく見えた。良太のこんな顔を見るのは初めてだ。
今日は先輩と一緒に帰る予定だったけど…。だけど、こんな良太を見たことのない僕にはほっとくという決断を下すことができなかった。

「…うん、時間ならあるよ。」
こう言うしかなかった。初めて良太の素顔を見た気がしたから。
それに、先輩もわかってくれるだろう。

「ありがとう。じゃあ部活終わったら。」

良太はそう言うと練習着に着替え始めた。
僕はそれを尻目に見ながらグラウンドへと走って向かった。

「裕也…。」
良太は誰もいなくなった部室でそう呟いた…。







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