グラウンドの端で素振りをしている先輩がいた。
僕はいつも通り先輩を見ていた。
といっても今は休憩中で練習に集中しろという先輩の忠告はちゃんと守っている。

もうそろそろで朝練も終わる。このあと少し走り込みをして終わりだろう。
水筒を傾けて口に水を流し込む。
すると、案の定監督から走り込みの指示が出された。

その後、キャプテンの指示である程度走ってその日の朝練は終わりとなった。
野球部の練習も終わったようだ。監督の周りに集合していた。

先輩を待っていたかったが時間もないし、どうせ野球部の人がいて話せないだろうと思い部室へと向かった。
その様子を良太が見ているとも気づかずに…。

部室はわいわいとしていて賑やかだった。エナメルバッグからタオルを取り出して汗を拭う。
そして制服に着替える。運動をした後に制服を着ると、とても暑く感じる。
着替えた後、他の数人の部員と教室へ向かう。その中には良太はいなかった…。

(あぁ、だるい。)
授業は暇だ。ペンまわしをしながら外を見つめる。チョークが黒板とこすれる音がする。
でも今日は嬉しいことがある。
そう、今日は委員会がある日なのだ。これで放課後先輩と話せる。僕は1日中そんなことを考えていた…。

「じゃあこの後の委員会に遅れないように。特に○○裕也!」

「わかってます!ちゃんと行きます!」
この前忘れて委員会に行っていないことは先生に知られている。
先生も委員会の担当の先生に嫌味を言われたらしく少し機嫌が悪かった。

そして、HRが終わると一目散に教室を抜け出し委員会が行われる教室へと向かう。
教室には副委員長と2人で委員会の準備をしている先輩の姿があった。

「先輩。手伝いましょうか?」
先輩に気付かれないように後ろから声をかけてみると先輩はびっくりしたようで、目を大きく開いて振り向いた。

「なんだ裕也か。委員会に野球部いないのに先輩って呼ばれたからびっくりした。」

「なんだはないですよ。せっかく手伝おうと思ったのに。」

「ごめんごめん。じゃあ原案配るの手伝って。机に置いとくだけでいいから。」

「わかりました。これでいいんですよね?」

「うんそれ。じゃあ頼むよ。」

「貴博仲いいね。2人って近所かなんか?」
副委員長が先輩に聞いていたが先輩は笑って否定していた。

「全然近所なんかじゃないよ。え〜と、俺の彼女かな。」
僕はその言葉を聞いてびくっとなったがその言葉は当たり前のようにふざけていると思われたようで副委員長は「それなら彼氏?になるんじゃない?」と笑っていた。

僕は、はぁ〜とため息をつき先輩を睨んだ。それでも先輩は笑っていた。
そんな笑顔を見せられるとこっちも笑ってしまう。僕の口元はまた緩んでいた。






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