目が覚めるともう朝だった。昨日は先輩と久しぶりに2人きりになることができた。
それに、キスまで、、、

そこまで考えてまた口元が緩んでいることに気がついた。
時計に目をやる。まだ余裕はあるが今日は部活の朝練がある。この前みたいに良太にどやされるのは嫌だ。

軽い朝食だけを摂って残りはおにぎりを作る。朝練が終わった後に食べるためだ。
部活のジャージに着替えて、エナメルバッグに荷物を詰め込む。

「行ってきます。」
ドアを開けるともう、蝉の鳴き声が聞こえた。それもそのはずだ。今は、梅雨も終わり夏真っ盛りだ。
そんな蝉の声を聞きながら自転車にまたがり学校へと向かう。

夏の朝独特の涼しい風を切る。

学校につくとすぐに部室へと向かう。ドアを開けるとそこにはもう何人かの部員の姿があった。その中には良太もいた。

でも、僕の顔を見ると少し表情が曇った気がした。

「良太どうかした?」
いつもは良太が僕に掛ける言葉で聞いてみる。

「何にもない。ちょっと疲れてるだけ…。」

明らかに様子がおかしかった。いつもなら本当に疲れていても明るく振舞っているのに、、、
良太は僕に目を合わせずにグラウンドに出て行った。

(どうしたんだろう…。)
良太のことを気に掛けながら部活の準備をする。

良太はいつも周りを見てきた。周りが見えないところを見てきた。それ故に良太の本質は周りから見えなかった…。






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