「かわいい」
先輩の純真無垢なこの反応が。素直に輝いているこの先輩が。
先輩はかわいいと言われるのを嫌うけど、どうしてもかわいいと思ってしまう。

「じゃあまた今度ね!」
先輩はよっぽど恥ずかしかったのか、目を合わせずに後ろを向いて走り出した。僕は先輩の後姿を見て叫んだ。

「先輩!」
先輩は走るのをやめてこちらを見ずに立ち止まった。

「また明日!」
僕は笑って大きく手を振った。すると、先輩はこちらを振り返って恥ずかしそうな表情のまま輝くような笑顔で僕を見た。

そして、手を振るのではなくガッツポーズの様な感じで拳を大きく上げた。
そしてすぐに、先輩は向き直り走り出した。先輩の後姿は少ししないうちに暗さを増した道の先に消えていった。

家に入ると母が怒って待っていた。長いこと説教をされたけど、そんなものは全然頭に入ってこなかった。
先輩との充実した時間が頭の中で反復していた。今まで望んでいた時間を、、、

説教が終わると僕は自分の部屋に向かった。携帯がベッドの上に投げ捨ててあったがそんなものは気にせずに机に着いた。

いつもはあまりやらない宿題をやる。思い出し笑いで、少し口元が緩みながら…。

久しぶりの先輩との時間、たのしかったなぁ。
先輩は野球をやってるときは頼もしくかっこいい。
でも、普段の先輩はすごくシャイで、すぐに顔が赤くなる。
よくそんな性格でみんなの前に出て喋る生徒会の役員になれたもんだと感心するほどだ。

それでも、今日先輩は自分からキスをしてくれた。

そっと自分の唇に触れてみる。先輩が触れたところを、、、
自分でも口元が緩んでいることがわかった…。






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