裕也の顔が近付いているのが分かる。そして、唇にとても柔らかいものがそっと触れた。
裕也の熱が伝わってくる。それは、とても熱く感じた。

その時、裕也の瞳から一筋の涙が流れた。それをそっと拭ってあげる。

「裕也はよく泣くなぁ。あの日も泣いてたよな。」
わざと裕也を茶化した。俺は裕也に嬉し泣きとしても泣いてほしくなかった。笑っていて欲しかった。

「先輩も今泣きそうになってたからお互い様です!」
裕也は不満げな声だけど、笑ってくれた。とてもきれいな笑顔だった。心を素直にさせてくれる。

「うん、そうだね。」
思わず気持ちをストレートに口にしてしまう。裕也の前だと素直になれる。自分でも驚くほどに…。

それからは本当に他愛のないことばかりを話した。愛していると言うわけでもなく、ただお互いのことを知りたかった。

「先輩、背高くなったね。僕よりも少し高くなってる。」

「そうかな?成長期かな?」

嬉しかった。実を言うと裕也よりも背が低いことを少し気にしていた。裕也を支えるのではなく包み込んでやりたかった。

それに、裕也がそのことに気づいてくれたことが嬉しかった。嬉しくて、ついテンションが上がる。

はしゃいでいると裕也が少し笑っていることに気がついた。恥ずかしくなって鼻を掻く。
「ありがとう。」
俺は裕也に今までの気持ちを伝えた…。





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