やっぱり来れなかったのだろうか。あるいは来たくなかったのだろうか…。涙は止まらずに瞳から流れ落ちる。
携帯にはまだ返信メールは来ていない。液晶画面には待ち受け画面が虚しく光っているだけだった…。

もう遅かったのだろうか。もっとはやくに裕也の、、、自分の気持ちに気付くべきだったのだろうか、、、
余計なことを考えてしまう。見栄を張ってしまう。周りを気にしてしまう。

でも、それは仕方のないことだ。僕たちは男同士なのだから…。そのことは裕也も了承してくれている。でも、それでも、、、

再び携帯の画面を見る。その時、公園の入り口の方に人の気配を感じた。振り返ってみるとそこには待ちわびた愛しい人が立っていた。
裕也が…。

来てくれた…。そう思うと自然に笑顔になり、涙を拭って裕也を見つめる。

「メールが返ってこなかったから来られないかと思った。」

そう言うと裕也は一瞬びっくりしたような顔になって目を潤ませた。そして、いきなりこう言った。
「先輩!好きです!」と。

彼はそのまま、その場に立ち尽くしていた。

びっくりした。いきなりだったから。俺が今一番聞きたい言葉が聞けたから…。

貴博は立ちあがって立ち尽くしている裕也の元へと歩み寄った。そして腕を裕也の背中へとまわして、しっかりと抱きよせる。

(離したくない。この時間を、感触を、感情を忘れたくない。)

そして、しばらくして顔をあげた裕也は俺の顔へと手を伸ばし、目から溢れ出しそうになっている涙を拭った。
俺は何だか恥ずかしくなって自分の服の袖で涙を拭った。
(優しいな。)改めてそう思った。わかりきっていたことなのに。

俺は裕也を包み込んだまま、できるだけ優しく「俺も好きだよ。」と言った。
そう言うと裕也は俺の体に顔を押し付けた。それでも俺は言葉を続けた。

「好きだよ。今までも、この先も君を、裕也を想い続けるよ。」

そう言うと裕也は泣きそうな顔で見上げてきた。そのまま裕也は俺の頬を通り、頭に手を回してきた。
そして、俺は裕也に身を任せて目を閉じた…。






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