携帯を開き受信BOXを見る。それは思ったとおり、先輩だった。
メールを開いてみる。
「メール遅れてごめん。部活が長引いて。こっちの都合で悪いけど、今から○○公園で会える?来られたら、メール頂戴。」
(えっ!いまから!?)
メールが着信した時間を見る。
僕がお風呂に入った直後だ。もう、1時間ほど前だ。どうしよう、今から行っても間に合うだろうか。
いや、もう行くしかない。先輩と2人きりで会う。それは自分自身でも求めていたことだ。
上着を羽織ってそのまま外に出る。○○公園はここから走って5分もかからない。公園まで全力疾走する。
この公園は公園と言っても本当に近所の小さな子が遊ぶくらいの規模である。外灯も入口とベンチの隣にある2本しかない。
その明りのもとに1人の影があった。小さな体、それなのに袖から伸びる腕は日に焼けていてたくましい。一目で先輩だとわかった。
まだ先輩はこちらに気が付いていないのか携帯の画面ばかり見ている。そうだ、急いでいたからメールを送り忘れていた。
ポケットから携帯を取り出そうと手をつっこむ。しかし、そこには携帯の感触はなかった。携帯も家に忘れたようだ。
いいや、もう必要ないのか。携帯なんかを通さなくても今先輩は僕の眼の前にいる。僕を待ってくれている…。
僕は先輩が座っているベンチへと歩み寄った。
先輩が僕に気付いてこちらに顔を向けた。その顔は今にも泣きそうな不安に満ちた顔だった。
先輩は涙を拭うように手で目を擦りながら先ほどとは打って変わって輝くような笑顔で僕を見つめた。
「メールが返ってこなかったから来られないかと思った。」
それなのに、僕が来る保証なんてないのに…。先輩は待ってくれていた。
この気持はお互い知っている。だけど何故か無性に言いたくなった。あの日生徒会でとっさに言ったように、、、
「先輩!好きです!」
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