今日も部活を終えていつも通り良太と家に帰り部屋のベッドへと倒れ込む。
(はぁ〜)
思わず溜息をつく。ポケットから携帯を取り出す。まだ先輩からのメールは来ていない。
携帯をベッドに放り投げる。そして何もない白い天井を見上げる。目を閉じても眠りにつけない。
起き上がりベッドからおりる。携帯をそのままにして階段を降りる。

1階にいくと母が晩御飯の準備をしていた。出来上がっていたものを口へと運ぶ。
当たり前のようにそのまま晩御飯になった。つまみ食いだけで終わらずに出来上がったものから順に自分の分を食べてしまった。

まだ少し早かったが何もすることがないので、風呂に入った。
湯船につかって、先輩のことを考える。

グラウンドで白球を追う姿。
委員長として全校生徒の前で話す姿。
友達と楽しそうに話している姿。
練習が終わった後に監督の話を聞いている姿。
あの試合が終わった後の泣いている姿。
あの日生徒会室で見せてくれた幸せに満ちた笑顔。

そのすべてが今は目の前にあるのにとても遠く脆いものに感じた。
近くにあるからこそ遠く感じる。
近くにあるから見失う。
求めるからこそ手に入らない。
手を伸ばすと遠ざかる。

そんなものがあるような気がした。
どんなに互いが愛していても、互いに手を伸ばしてもとどかない距離が2人の間にある、、、

その時、良太の言葉が頭をよぎった。「起こる前には戻れないから受け止めるしかない。」
そうだ、もう戻れないのだから先輩を信じて、自分の気持ちに素直に行くしかない。

不安を振り払うかのように頭をふる。髪についていた水滴が飛び散る。
湯船から上がると体がだるかった。ちょっと湯船につかりすぎてのぼせたみたいだ。

体を拭いて下着とハーパンを着る。もう本格的に夏に入ったので夜も寝苦しいほどに暑い。

部屋に入ると新着メールを知らせる光が点滅していた。





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