僕たちが付き合い始めて数日がたった。付き合うといっても表だったことは何もしていない。それは、恥ずかしいという事もあるが、何より僕たちが男同士だからだ。
2人の時は男同士なんてことは気にならない。だけど、さすがに人前だと抵抗がある。それは先輩も同じきもちだった。
僕たちの今の関係は他から見れば異様なものに他ならなかった。僕も自分が先輩を好きにならなかったらこの人種を避けるだろう。

それでも僕は先輩のことが好きになったのだ。誰がなんと言おうと、この気持ちは変わらない。それに良太のあのアドバイスで吹っ切れることができたのだ。

僕たちは学校で会うと目を合わせてアイコンタクトをするしかなかった。だけど、僕はそれだけでも嬉しかった。教室をでると先輩が歩いていないか挙動不審になった。

部活中に先輩を見ていてボーっとしているのを監督に怒られた。その話を聞いた先輩は僕に部活に集中しろと苦笑いをしていた。

毎日が楽しかった、満ち足りていた。前のように自分の気持ちに嘘をついて気付かないふりをしていた頃のような虚無感を感じなくなった。

だけど、1つだけ不満がある。それはまだ、一緒に帰ったことがないということだ。

それどころか、あの生徒会室以来2人きりにもなっていない。
先輩は野球部で僕はサッカー部だ。違う部活に入っているのでスケジュールもあわないし、それぞれの周りには常に誰かがいた。
委員会も1か月に1回のペースなのであの後一度もあっていない。

そんなこんなで僕たちは付き合ってからもあまり直接話しをする機会も得られてなかった。

今も部活中の先輩の練習姿を眺めている。
今の生活が嫌なわけではない、満ち足りていると思っている。
だけど、、、心が無意識のうちに求めているものが増えてきている。直接先輩の声が聞きたい。先輩と他愛のない話で楽しみたい。

このとき僕はつくづく人間は欲深いものだと思った…。



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