塩田君の一言一言が僕に忘れていた安らぎを与えてくれる。

一つ一つの言葉に温もりを感じる。


それは今まで感じたことのない安堵感と優しさだった。

このままずっと塩田君と一緒に居られたらどんなに幸せだろうか…。

「将、俺な将が剣道辞めるって聞いた時俺も剣道辞めようかな。て思った。将が居ないならやる意味ないかなって思って。」

「じゃあ何でやめなかったの?」

「将が辞める時辛そうな顔してただろ。だから将本当は辞めたくないんじゃないかなぁ。と思って。」

「それだけ?」

「そう、それだけ。

将が辞めたくないのに辞めてるのに、俺だけそんなことで辞めたら将を馬鹿にしてる気がしてな。」

「それで今は部活のエースか、すごいね。」

「必死に練習したからな。将が辞めてから無我夢中だった。おかげ筋肉でむきむき。」
塩田君は笑いながら言った。

確かにそうだった。一緒に剣道していた時はそう変わらなかったのに今では塩田君の体つきはがっちりとしていてたくましかった。

「ほら、俺が体洗ってやるからちょっと出て。」

「えっ!?別に自分で洗えるからいい。」

「そんなに恥ずかしがるなよ。もうキスしあった仲だろ。いまさら隠すことなんか無いって!

それに本当はそんなアザ洗い流してやりたいくらいなのに…。」

塩田君は一瞬とても怖い顔になった。僕は何も言わずに湯船から出て洗い場に座った。
上から洗面器でお湯をかけられる。

「ちょっと待ってろよ。」
塩田君はタオルにボディソープをつけて泡をたててそっと僕の体に触れた。

「俺に分けてくれよ。傷も辛さも…。」
塩田君はそっと言った。







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