クラスの人や先生たちの何人かに頬のことを聞かれたが、ドジったと言って誤魔化した。

今日も何もない学校が終わる。




そのはずだった…。




普通どおりに終わってあの場所へと戻っていくと思った。

放課後に事は起こった。
教室に担任の先生が入ってきた。明らかに様子がおかしかった。とてもイラついているように見えた。

帰りのHRが始まる。先生は一つ溜息をつくと、いきなり説教をはじめた。
この頃の僕たちの授業態度と生活態度が悪かったなどが積もり積もったことが原因らしい。

男の人の大きな声が教室にこだまする。苦手だ…。男の人の大きな声は父が怒った時と重なる。

体中から汗がにじみ出る。体が緊張してこわばる。
今まで隠し続けてきた。優等生として先生に目をつけられないように隠れてきた。
男の大人と関わることができるだけ無いように部活にも入らず、生徒会に誘われた時も断った。

だんだんと先生の声が大きくなる。それにつれて僕の体は机に突っ伏していく。
気分が悪くなる。空気をうまく吸えないような感覚に陥る。目の前が暗くなる。

ふと先生の声が途切れた。顔をあげるとすぐそばに先生は立っていた。父の姿と重なる。

「大丈夫か?気分悪そうだが…。」
不意に先生が肩に手を乗せた。体中に鳥肌が立って椅子から跳ねるように立ち上がる。
男の人に体を不意に触られるのは体が無意識のうちに拒絶する。恐怖を感じるから、、、

クラスの空気が固まった。先生も目を見開いてこちらを見ている。

「気分が悪いので保健室に行ってもいいですか?」

「あ…、ああ。」

先生は困惑したような声だったがそんなのは無視して静まり返った教室を後にする。

教室を出た僕は保健室に向かわずに図書室へ向かう、図書室にはちょうど司書の先生はいなかった。
本を読むためのテーブルにうつ伏せになる。静かな時間が流れる。

どのぐらいの時間がたっただろうか。西日が差して室内が真っ赤に染まっていた。
時計をみるともうHRを抜け出してから1時間ほど経っていた。

教室に向かうと教室はもう電気が消えていて暗闇に満ちていた。その中に1人の人物がたたずんでいた。







[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -