父が食べ終わった皿を片づけていく。その時いつも思う。「まずいなら自分で作ればいいのに」と。

すべて洗い終わった後2階の自分の部屋へと戻る。自分の部屋と言っても必要最低限の物しか置いていない殺風景な部屋だ。

少ない家具の中のベッドに寝転がり、目をつぶる。視界が遮られ暗闇の中へと落ちていく。

僕は父親に暴力をふるわれている。
いわゆる“虐待”だ。でも、親と言っても本当に血のつながった親子ではない。

実の父親はもう何年も前に警察に捕まった。父はクスリをしていた。その内、僕と母に手を挙げるようになった。
そんな父に嫌気がさした母はこの今の父の元へと逃げた。そして母は僕を引き取った。

そんな僕が父と2人きりで話した初めの言葉は「子どもまで引き取るとは思わなかった。」だった。

やがて、僕は父から暴力を受けるようになった。その姿は実の父と重なり僕の心を食潰していった。

そんな僕を母は憐れむかのような目で見ていた。実の母なのに…。
そして、そんな父にも嫌気がさしたのか、僕の知る限り2人目の夫を母は捨てた。僕と共に、、、

それからは父の暴力もより一層激しくなった。

この家には寄り所がない。必要とされていない。
クスリにおぼれた実の父からも、僕を捨てて何処かへ行った実の母からも、
本当の愛情を感じたことは無かった。恐怖しか感じることができなかった。
言うまでもなく今の義父からも…。

不意に殴られた頬がズキッと痛んだ。そっと撫でてみると、少し腫れていた。明日には青あざに成るだろうと容易に予想できた。

ベッドから起き上がると1階へと降りて自分の食料を探す。自分の食べるものは残りの物など簡単なものだ。

食事を終わらせて2階へと向かう。そして先ほどと同じようにベッドへ倒れ込む。

「はぁ。」
深いため息をつき目をつぶる。
そして、深い闇へと落ちていく。明日という虚無の闇へと、、、







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