朝、いつも通り学校へ行く準備をして家を後にする。
普通に考えたらまだまだ余裕がある。
この時間に家をでる学生などほとんどいないだろう。

だけど僕はあの場所に居たくなかった。一秒でも早くあの場所から抜け出したかった…。

1人で学校へ向かう。何も考えずにただひたすら歩く。
朝日が僕を照らしだす。しかし、それと同時に影を作り出す。その影は吸い込まれるような闇だった。
視線を再び前へと戻して学校へと向かう。

学校に着くと朝練に来ている生徒がグラウンドで練習をしていた。そんなかすかな喧騒を聞きながら昇降口へと向かう。

「2年3組15番原野将(しょう)」自分の靴箱を開け上履きを取り出す。
そして当たり前のように職員室に向かい教室の鍵を取る。この時間に教室に入る生徒はいないので鍵を取りに行くのが当たり前になっている。

教室に行くと宿題や予習をする。家でしない分を学校でする。いや、出来ない分を…。

しばらくするとクラスメイトが教室に入ってくる。
「おはよう」その言葉がかけられる。それに僕は笑顔でこたえる。誰もがいい印象を持つような笑顔で、、、

大体の生徒が教室に入ったときチャイムが鳴った。朝のHR(ホームルーム)が始まる予鈴だ。
担任の教師が今日の流れを説明している。
が、そんなことはどうでもよかった。今日なにがあろうが最後にはあの場所に戻らなくてはいけない。
あの自分がいるべきじゃないところへ。自分が必要とされないところへ…。

1日は気分で短くも長くも感じるという。だが、僕にとって1日というのは長いものでしかない。
その中の学校での時間は退屈で、何も考えなくていい、それでいて不安を増す時間でもある。

放課後になり1人になった。今日も学校が終わる。退屈で平和な時間が、、、

不安が具体的なイメージとして自分自身に押し寄せてくる。

この空間から出たくないと心の中で叫ぶ。あの場所に戻りたくないと。誰か助けてと心の中で泣き叫ぶ。

その時不意に隣に人の気配を感じた。

その人物は躊躇うことなく僕の頭を撫でた。




そして一言



「だいじょうぶ」


と力強く言った…。








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