「お前にとって純はそんなに特別なのか?」

「特別っていうか、居ないと困るっていうか、居るのが当たり前…って感じかな。…何かよくわかんねぇ。」

「…分かったよ。仲直りの手伝いしてやる。その代わり今度奢れよな。」

「ありがとう!なんでも奢ってやる。で、どうするんだ?」

「今度の休み純と俺と竜の三人で買い物に行こう。それなら気まずくもないだろ。で、純を思いっきり楽しませれば機嫌ぐらいすぐなおるだろ。」

「そんなもんか?俺はもっと複雑だと思うけど、、、大体純が機嫌の悪い理由だって分かっていないのにそんなので直るのか?」

「やってみないと分からないだろ。あっ…」

「なんだよ?まだ何かあるのか?」

「純の前では小山の話しするなよ。お前の惚気はうざいんだよ。」

「わかったよ。…そこまで言う必要あるか…。」

竜がぼそりと呟いた言葉にイライラする。こんなへたれ野郎なのに…純の気持ちも考えないような奴なのに、、、俺はこいつ以下なのか…。
純に何もしてやらないような奴に俺は純を取られるんだ。いや、最初から純は俺のものなんかじゃなかった。最初から竜のものだったんだ。

「とにかく俺の言うとおりにしろよ。分かったか?」

「分かってるって。じゃあ頼んだぞ。」

そのあとは二人とも黙りこんで足早に道を進んだ。分かれ道に差し掛かると「じゃあ」とだけ言って別れた。

別れた後も亮はずっと考えていた。何が足りなかったのかを…何故純は竜がよかったのかを…。

いくら考えても答えが出るはずもなく、誰かの彼女みたいに優秀じゃない脳みそは考えることを止めた。

肌を刺す冷たい空気が痛い。

別に竜のために手伝うのではない。仲直りしてほしいから手伝うのではない。そうしないと純が笑わないから、、、笑ってくれないから手伝うんだ。

純が幸せになれるように、大嫌いな奴に手を貸すんだ。

純のために…。



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