「尾浜くん、お待たせ」
その声に振りむけば、そこには私服姿の名前がいた。
俺の要望に応えてくれたのか、ワンピースを着た可愛い彼女に胸がキュンとなる。
(スカートが良いと伝えといて正解だった!)
「待った?」
「いや、今来たばっかり」
本当は30分前に着いてたなんて、彼女を前にして言えるわけがない。
俺はそれを悟られないうちに、名前の手を握った。その途端に真っ赤になり、嬉しそうに微笑む名前に胸がいっぱいになりながら、歩き出す。
今日は初めてのデート。
もちろん行き先は、駅前のケーキ屋さん。彼女と来たくて、来たくてしょうがなかった俺の大好きな場所。名前も好きになってくれたら良いな。
ちらりと横を見れば、これまた幸せそうに俺と握った手を見つめる名前がいた。
本当、あの時、勇気を出して告白して良かった。
俺は愛おしい彼女の名前を呼ぶ。
ヒマワリのようなあたたかい笑顔を向けながら、「どうしたの?」と問いかけてくる彼女。ああ、なんて可愛いんだ!
こんなに可愛い名前が他の男のものにならなくて良かった。本当に良かった。
「尾浜くん?」
ああ!
いけない、いけない。名前を放置しちゃった。
そんな不安そうな目で見上げないでよ。可愛過ぎて、俺我慢できなくなっちゃうでしょ。
自分の邪な気持ちを紛らわすように、彼女の手を強く握りながら、俺は伝えた。
これから先もきっと変わることのないこの気持ち。
「名前、ずっと一緒にいよう」
照れながら小さく頷いたキミを、俺は絶対はなさないと誓った。