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食堂に着くと、すでに何人かの生徒が席に座っていた。
さすがに夕飯を食べてる人は居らず、友人との会話を楽しむ人やおやつを食べている人しかいなかった。

なんだか、KY感が漂うけど、お腹減っちゃったんだもん。仕方ないよね。

食券販売機の前に立ち、部屋のカギに付いていたメモリースティックのようなものを差し込む。
すると、販売機のライトが点灯し、「商品をお選び下さい」という音声が流れた。
たくさんの光るボタンの中から2つを選び、素早く押す。
そして、決定ボタンを押して、メモリースティックを抜くと、「お買い上げありがとうございます」との声と共に食券が出てきた。

一見変わったシステムのように見えるが、仕組み自体は普通の学食と変わらない。
唯一特殊なのは、寮生が食券を現金で購入しなくてすむように改良された、このメモリースティックだけだ。
学食をタダで食べられる寮生のみの特権で、寮内のみならず、学園内の全ての飲食店で使用可能だ。








「こんにちはー。もうコレ注文しても大丈夫ですか?」

「あー、はいはい、大丈夫だよ。アンタ、1年生かい?」

食堂の調理場に声をかけると、おばちゃん達が優しそうな顔で答えてくれた。

「はい。普通科の苗字名前と申します」

「あらまぁ。礼儀正しい子だねぇ」

食券を渡し、出来上がりを待っているの間に数人のおばちゃんと軽く話をした。
なかなかノリの良いおばちゃん達で、初対面の私に優しく話しかけてくれた。おまけに、入学祝いとしてケーキまでくれた!
ありがとう、おばちゃん。もう嬉しくて泣いちゃいそうだよ。

「そおだ、名前ちゃん」

「どうしました?」

「寮母さんが説明したと思うんだけど、ここでバイトしないかい?まかないも出すよ」

「まあ、名前ちゃんが学校に慣れてからで構わないからさぁ」

「名前ちゃんみたいな子が手伝ってくれたら、私らも楽しいからねぇ」

「孫が出来たみたいで嬉しいわよ」

「「「ねぇ〜」」」

声をそろえて言ってくれるおばちゃんs。
アルバイトはもともとやりたいなとは思ってたから……良いかもしれない。
でも、とりあえず、今はこの学校や授業に慣れないといけないからなぁ。

「分かった。学校に慣れたら、やらせていただきます」

「本当かい!?」

「じゃあ、寮母さんにゃ締め切ったって伝えとかないとない」

「んじゃ、私が行ってくるわ」

なんとコンビネーションの良い台所だろう。
注文したカレーとワカメスープを平らげ、ケーキを咀嚼しながら、私は呆然と目の前の光景を見ていた。




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