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「旨っ! なにこれ、超おいしい」

今日はご馳走してくれるって言うから、お言葉に甘えて玲の家に遊びに来た。
そして目の前にはほんのりと湯気がたっているオムライス。

玲のことだからきっと旨いに違いないなとは思っていたが、まさかこんなに旨いとは。
食べ盛りの俺はあっという間にたいらげてしまった。
「ごちそーさまっ!」
「喜んでもらえて良かった。僕、結構料理得意なんだよね」

うんうん、こんなに美味しいしね。
料理得意だなんてほんと羨ましい。
俺なんて料理もできなければ勉強もだめ。
なんの取り柄もないんだよなー。

「あ、じゃあ俺お皿片付けるね」
「うん、ありがと。助かるよ」

またこの天使のような玲スマイルで微笑まれて鼓動が速くなる。
……あ、玲スマイルってのは今俺が決めたんだけどね。
お皿を積み重ねて流しまで運んでいったら、つるっと足が滑ってしまった。

「おっと! あっぶな……」

何とか体勢を整えられたものの、うっかり指をはなしてしまって……

「あ!」

ガッシャーン!!

お皿を落としてしまった。しかも1枚はバラバラに割れてしまっている。

「拓真大丈夫!? ……あー、割れちゃってるね」
「ご、ごめん……」

何で何もないところで足を滑らせちゃったりしたんだろう。
昔からドジなのは承知だけどドジなのにも程がある。
せっかく美味しい料理を作ってくれたのに俺はお皿を割っちゃうなんて……。
がっくりと肩を落とし、深く反省していると玲が優しい言葉をかけてくれた。

「まぁいいよ、お皿なんていっぱいあるんだから」
「玲っ、ありがとう! 本当にごめん」

なんて優しいんだ、玲は。天使みたいなのは見た目だけではなく、性格も物腰柔らかで。
きっと今の俺の目は、キラキラ輝いていると思う。

そんなことを考えていると玲が何かを思い付いたようで口を開いた。

「そのかわりお皿を割ってしまった拓真には……お仕置き、ね」

あ、この顔……。

見た感じいつもの笑顔と変わらないけど、俺は長いこと一緒にいるからわかる。この顔は何かを企んでる顔だ。

「とりあえず明日の朝、拓真のクラスに行くから。楽しみにしててね」

楽しみって。
絶対楽しみになんかできない。

俺はそのあと家に帰り、何されるんだろうと悶々とし眠れない夜を過ごした。

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