1 ぽかぽかと気持ちのいい日差しがあたり、おもわず眠くなる。 眩しくて直視できないが、太陽が少し降りてきた昼下がり。 校庭の端にはえてる満開の桜を見つめていると、睡魔でだんだんボヤけてきた。 あ〜、やっぱり窓際の席って最高! こんな温かい場所で寝られるなんて幸せすぎる。 生きてて良かった、なんてしみじみ思う。 そんなアホらしいことを考えてたのは俺、白石拓真。 青春真っ盛り!の高校二年生だ。 ちなみに青春はしているものの、人生の道を外したりはしていない。 いたって平凡に暮らしている。 せいいっぱいの幸福をかみしめてる最中だが、今は授業中だ。 しかし先生の言っていることが呪文にしかきこえない。 外ばかり見ていたからかな、今どこをやっているのかすらわからない。 だってこんなに天気がいいんだよ? 誰だって外を見ながらうたた寝をするに違いない。 心の中で文句を言っていると、授業終了のチャイムがなった。 待ってましたと言わんばかりに周りがガヤガヤとする。 俺も特に用はないけど席をたち、廊下へと足を運ぶ。 廊下には雑談する人、教科書を持って移動する人、喧嘩をしている人達で賑わっていた。 こうして見ると、みんなホントに背がでかい。 まぁ、俺が低いだけなんだけどそこは言わないでほしい。 この160cmという身長がすごくコンプレックスなんだよ。 同じくらいの身長の人はいないこともないけど、本当に限られた人数しかいない。 何か遠まわしに嫌味を言われてるみたいだ。 「よぉー、拓真。相変わらずちっせぇなぁ」 ポケットに手をつっこみニヤニヤしながら言ってきたコイツは中学からの友達だ。 人が今考えてたことをいちいち言いやがって! 「うっせぇッ! 俺はこれからが成長期なんだよ」 「ぶはッ、まぁ頑張れー」 馬鹿にしたような笑いをして去っていった友人。 もうこれは恒例のやりとりだ。 やりとりというか、もはや挨拶になっている。 アイツとは普通に仲いいし、冗談だってわかるから別にいいんだけど。 俺だって昔からこんなに小さかったわけじゃないんだ。 小学校高学年のときは後ろから3番目だったし。 ただ、中学に入ってから一気にみんなの身長が伸びたから俺が小さく見えるっていうことで……。 ……考えているうちに悲しくなってきた。 よし、俺はこれからが成長期なんだから気にすることなんてない! ムリヤリ自分にそう思わせ、気にしないことにした。 |