2 「……ただいまぁー」 息を切らしながら玄関をあけると目の前には恋人の翼がいた。 「あれっ?翼、どうしたの?」 俺の親は家庭の事情であまり帰ってこない。 そして翼は高校生になってから一人暮らししている。ちょうどいいと思い、少し前から翼の住んでるアパートで同棲しているのだ。 だから翼が家にいるのはおかしくない。 俺が驚いているのは翼がものすごい形相で睨んでいることだ。 いつもならニコニコと抱きついてきたりするのに今日はあきらかに違う。 「ねぇ、顔怖いよ?何かあったの?」 それでも翼は返事をしてくれない。 とりあえず靴をぬいで部屋にあがろうとした瞬間…… グイッ! 翼が俺の手首を強くつかんでムリヤリ寝室へと連れていかれ、ベッドに放り投げられた。 「いった……、いきなり何すん、ンンっ……」 いきなりキスをされて言葉が遮られた。 ざらりとした感触に背筋がぞくりとする。 こんな激しいのは初めてだ。 いつもは優しく甘くとろけるようなキスなのに、どうして今日は違うんだろう……。 とにかく、今日はいつもの翼じゃない。 「んぅッ…ぷはっ、翼どうしたんだよ!今日なんか変だぞ」 そういっても返事はかえってこない。 ただ無言で俺を睨みつけている。 |