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「そういえば、名前何て言うの?この前教えてくれなかったし」
「……俊」

教えようか迷ったけど、相手の名前は知ってて自分だけ名乗らないのもどうかなと思い教えた。

「俊って言うんだ。うん、そんな感じがする」

それから俺達は他愛もない会話をした。
あの時は変な人とばかり思ってたけど、案外いい人だ。
俺も安心していろんなことを話せた。

そしてそろそろ帰ろうかなと思った時。


「俺、俊のことが好きだ」

は?
やっぱりこの人、変な人だった。
男が男に告白ってどう考えたって変だろ。

「あ、俺帰ります」

とりあえず急いで帰ろう。
「いやいや、スルーしないでよ。いつも電車でああいうことをしてるけど、
名刺渡すの俊が初めてだったし自分でもおかしいと思ってたんだ」
「でも俺ホモじゃないですし。まず大人が未成年に手をだしたらダメじゃないですか」

何この空気。
逃げたいけど、さっき腕をつかまれちゃったから身動きができない。

「この際、年齢なんて関係ない」

俺はよくないって。
確かに男でも見惚れるほど佐々木さんはカッコイイけど、恋愛としてはみれない。
でも目が本気だ。

怖い。

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