1 今日は勉強やバイトやらで忙しい俺の、唯一の休日。俺、井上優希はこの休日を満喫していた。 朝から親たちは出かけていったから、家には2つ下の弟がいるだけだ。 たった2つしか違わないのに高校1年生とは思えないデカさと大人っぽさのある弟。 俺のほうが年上なのに負けてる気がしてちょっと悔しかった。 ベッドに横になって雑誌を読んでたらコンコンとドアをノックする音がした。 「どーぞー」 気の抜けた返事をすると弟の尚哉がはいってくる。 「兄貴、ここの問題わからなかったから一緒に勉強しようと思って」 俺と尚哉は仲のいい兄弟だと近所でまあまあ評判だ。だからこうして一緒に勉強することもそう珍しくはない。 それと、勉強となると尚哉に勝ってる気がするから……というのもあるが。 「えーと、ここはこうなるからこうだろ?」 「うんうん……あっ、それで答えはこうか」 「せいかーい」 こうやってしばらく勉強をしていた。 尚哉もヒントを与えればわかるようになるから俺も教えがいがある。 「結構やったしそろそろ休憩するか、何か飲み物でも持ってくるわ」 そう言って立ち上がり、ドアのほうへ歩いていると…… 「……?」 後ろから腕がまわり背中に温かい感触がする。 何だろうと思ってると耳に息がかかる。 「兄貴、俺……ずっと兄貴のことが好きだったんだ」 ようやく今の状況がわかった。 俺、尚哉に抱きしめられてる……? それに好きって言ったよな、今。 |