2 映画を見て買い物をして、外が暗くなり始めた頃。 「今日、俺んち泊まるよね?」 デートした日は何かがない限り、いつも楓の家に泊まっていた。 そしてお約束のように俺達は楓の家に向かう。 住んでるアパートは目立たないところに建ててあるけれど、小奇麗で小さなアパートだ。 アパートに着き、ドアを開けるといい匂いがする。 俺は楓んちの匂いが大好きだ。 石鹸のような香りもまざってて、温かいほんわかした感じが何とも落ち着く。 そして部屋には家族や俺と一緒に写ってる写真がたくさん置いてある。 もう何度も来ているが、寂しがり屋な楓らしいなと思った。 そして部屋に入った途端、楓がベターっと抱きついてきた。 これもいつものパターン。外にいるときは楓も楓なりに躊躇しているらしい。 まぁ、腕には抱きついてくるが。 小さな顔を俺の服に押しつけている。 まるで小さい子供がお母さんの匂いを嗅いで安心しているみたいな感じだ。 何で同じ男なのにこんなに可愛いんだろう。 そんなことを考え暫くほっこりしていたけど、このままじゃ動けない。 「楓ちゃーん、動けない……」 「…………」 無視された。 華奢だし一見力のなさそうに見えるけど、案外強い。こういうところはやっぱり男なんだなと思う。 |