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「……きみ、白石拓真君だよね?」
「え? は、はい、そうですけど……」

同い年でもついつい敬語を使ってしまう。
それぐらいオーラが放たれているからだ。
……というか何で俺の名前知ってんの?
今まで話したことはもちろん無いし、見かけたのも数回だけなのに。
俺、なんかヤバいことしたっけ?
記憶を辿ってみても思い当たる筋が全くない。

「僕、ずっと君と話してみたかったんだ」

ふわりと優しく微笑まれ、一瞬ときめいてしまった。
それにしても俺と話したいって……なんでだろう?
なにか趣味が合うとか?
うーん、俺特にこれといった趣味ないもんなぁ。
いまいち城之内の考えてることが掴めない。
もう、いろんなことが同時に起こりすぎて頭がパンクしそう。

「何で……俺?」
「うーん、何となく……?」

聞いてみたけど、余計わからなくなった。
まぁ気にすることもないか。
こんなの俺らしくないし。別に嫌われてるわけじゃなさそうだから良しとしよう!

城之内は爽やか好青年君(名前がわからない)の手と足についてる鎖みたいなのをとって、ハァと溜め息をついた。

「ハァ……時間の無駄だったなぁ」

爽やか好青年君を見てみたら、数メートル離れたここからでも見えるくらい震えてる。
だ、大丈夫なのかな……?
いや、見た限り大丈夫そうじゃないけれども。
しばらく見ていたらパチッと目が合ってしまった。
しかし何の反応もなく、そそくさと着替えて教室を飛び出していった。

思ったんだけど、この2人は何がどうなってあんなことをしてたんだろう。
聞きたいけど聞けない。
あー、もどかしい。

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