4 「……きみ、白石拓真君だよね?」 「え? は、はい、そうですけど……」 同い年でもついつい敬語を使ってしまう。 それぐらいオーラが放たれているからだ。 ……というか何で俺の名前知ってんの? 今まで話したことはもちろん無いし、見かけたのも数回だけなのに。 俺、なんかヤバいことしたっけ? 記憶を辿ってみても思い当たる筋が全くない。 「僕、ずっと君と話してみたかったんだ」 ふわりと優しく微笑まれ、一瞬ときめいてしまった。 それにしても俺と話したいって……なんでだろう? なにか趣味が合うとか? うーん、俺特にこれといった趣味ないもんなぁ。 いまいち城之内の考えてることが掴めない。 もう、いろんなことが同時に起こりすぎて頭がパンクしそう。 「何で……俺?」 「うーん、何となく……?」 聞いてみたけど、余計わからなくなった。 まぁ気にすることもないか。 こんなの俺らしくないし。別に嫌われてるわけじゃなさそうだから良しとしよう! 城之内は爽やか好青年君(名前がわからない)の手と足についてる鎖みたいなのをとって、ハァと溜め息をついた。 「ハァ……時間の無駄だったなぁ」 爽やか好青年君を見てみたら、数メートル離れたここからでも見えるくらい震えてる。 だ、大丈夫なのかな……? いや、見た限り大丈夫そうじゃないけれども。 しばらく見ていたらパチッと目が合ってしまった。 しかし何の反応もなく、そそくさと着替えて教室を飛び出していった。 思ったんだけど、この2人は何がどうなってあんなことをしてたんだろう。 聞きたいけど聞けない。 あー、もどかしい。 |