5 ――1時間後。 「うん、美味い!」 「そ、そうか?なら良かった」 表では嫌な態度を示しているが、すっかり機嫌が良くなった奏。 今は料理を皿に盛り、テーブルを二人で囲んで食べてる最中だ。 温かい料理を誰かと食べるのは幸せなことだとつくづく感じる。 「なぁ、奏……」 急に深刻そうな声で問いかけられ、目だけを恭介のほうをむく。 「……ん?なに?」 「次はさぁ、こう……」 珍しく恭介が何かを言うのに戸惑ってるのを見て、奏は首を傾げる。 「裸エプロンってのやってくれないかな!一度でいいから見てみたいんだ!男のロマンってもんだろ?」 「…………」 今まで黙々と食べ続けてた手を止める。 (……何が男のロマンだよ、バーカ) 「な、いいだろ?ほら、このとーり!」 恭介は頭の上で両手を合わせて悲願する。 それを見て何でこんな男を好きになったんだろう、と盛大なため息をつく。 ちょっと照れくさいのをこらえながら――。 end |