2
「海――っ!!」
健悟のうれしそうな声が響く。
夏の盛りの海は、真っ青な空とも相まって本当にきれいだ。
「大きい―・・・」
果ての見えない海。
久しぶりに見たそれに、思わず魅入ってしまった。
「由希。とっとと行くぞ。」
頭にぽんとのせられた手と共に、僕は走り出した。
泳いで、ボールで遊んで、砂でアートして、健悟を埋めて、また泳いで。
とにかく僕らは遊びまくった。
灼熱の太陽の下での全力の遊びは、ものすごく体力を消耗した。
「体がだりぃ・・・」
龍でさえも疲れた顔で、ザクザクとカキ氷を食べてる。
「そんな一気に食べると、キーンってなるよ。」
さっきの健悟みたいに。
そう続けると、健悟は恥ずかしそうな顔をして、龍は薄く苦く笑った。
熱されたからだが、徐々に冷やされていく。
口に入った氷から。
手に持った容器の冷たさから。
だけど、むっとたちこめる気温に、また汗がにじむ。
真夏の海だ。
- 6 -
[*前] | [次#]
back