贈り物 | ナノ
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勉強なんて、面倒なだけ。
今までずっとそう思ってた。

だけど、今この瞬間は、僕はその勉強に感謝してる。
理由?聞くまでもないよ。
決まってるでしょ。

更夜と一緒にいれるから、だよ。



「・・・透、ここ意味分かんねぇ。」
「ここも、でしょ。どこ?」

問題集に顔をしかめて、僕を素直に頼ってくる。
その姿がたまらなく愛おしい。

「筆者の言いたいことなんざ知るか・・・」
「・・・本当に理系だね。」

数学は楽しそうにサラサラ解いてたのに、国語になった途端これ。
ほぼ2問ごとにつまづいて、僕に助けを求める。


「日本語話せれば十分だろ・・・」
頭を抱えて、唸ってる。

あぁ、可愛い。
思わず頬が緩む。

そんな更夜が今、僕と勉強してる理由は。

「テストのために頑張るんでしょ?」

そう、五月末の中間考査のため。

僕と2人で、第3図書室でお勉強会。


何で2人しかいないのか、って?
決まってるでしょ。

2人きりがいいし、邪魔されたくないからだよ。


人払いは得意だよ。

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