幸せって何?
時が止まったような気がした。
「先に言うな。ってか由希は、そんな素振り見せたこと無かっただろ。」
ちらりと視線を斜め下に向けて、溜め息をつきそうな口振りで話し続ける。
「…俺は、ほんとにガキな時からおまえだけを見てたんだ。」
「…っ、」
次から次にあふれて、止まらない。
伝えなきゃ。
僕にはやっぱり龍が必要で、1番龍の傍にいたいんだって。
つまり、僕も龍が大好きだって。
それなのに、なんで。
言葉が出ない。
想いがあふれすぎる。声に乗せれない。
なんで。
伝えなきゃいけない時に伝えられないの。
龍の大きな手が僕の頬を拭った。
そのまま、優しく笑う龍に抱きしめられる。
まだあふれて止まらないものが、龍の肩口を濡らす。
あたたかい確かな腕に力が抜けて、ぽろりとこぼれた。
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