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今、言うしかない。
今の中途半端な時間、周りに人影はない。
勢いだって、きっと大切だ。
「?どうした?」
「あ、あのね・・・!」
頭の中が真っ白だ。
さっきまで、いろいろ考えてたのに。
言いたいことだって、たくさんあるのに。
くしゃりと顔が歪んだ。
泣きたくないのに、苦しくないのに。
「ぼ、くは・・・」
何も言わずに動かない龍。
喉にからまる声を、振り絞って告げた。
「…僕は、」
今までの龍との生活がぐるぐると頭の中を回る。
胸が、胸の奥が痛くてたまらない。
「りゅうが、好き・・・。」
小さくて震えてて、驚くほど掠れた、吐息みたいな声だった。
でも、ちゃんと届いたと思う。
だって、龍の体が微かに動いた。
一瞬なのだろうけど、その沈黙は永遠に感じられた。
たまらなくなった僕は、思わず逃げてしまった。
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