ぼちぽち | ナノ
3

今、言うしかない。

今の中途半端な時間、周りに人影はない。


勢いだって、きっと大切だ。


「?どうした?」
「あ、あのね・・・!」

頭の中が真っ白だ。

さっきまで、いろいろ考えてたのに。

言いたいことだって、たくさんあるのに。


くしゃりと顔が歪んだ。

泣きたくないのに、苦しくないのに。


「ぼ、くは・・・」

何も言わずに動かない龍。

喉にからまる声を、振り絞って告げた。

「…僕は、」

今までの龍との生活がぐるぐると頭の中を回る。

胸が、胸の奥が痛くてたまらない。


「りゅうが、好き・・・。」


小さくて震えてて、驚くほど掠れた、吐息みたいな声だった。

でも、ちゃんと届いたと思う。


だって、龍の体が微かに動いた。




一瞬なのだろうけど、その沈黙は永遠に感じられた。


たまらなくなった僕は、思わず逃げてしまった。



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