ぼちぽち | ナノ
2

2人っきりのいつもの帰り道だ。

でも、僕の心臓はバクバクと激しく音をたてている。

緊張して、動きがぎこちなくなってしまう。


いつ言おう?
どこで言えばいい?
何て言えば伝わるの?



「由希」

龍の声に、びっくりして肩が震えた。

思考の海から、あわてて身をあげる。

呆れ顔の龍は、穏やかな顔でとても残酷な発言をした。


「何ぼうっとしてんだ。着いたぞ。」

「え・・・。」

ど、どうしよう・・・!
もう家に着いちゃったんだ・・・。


確かに、目の前に在ったのは僕の家のドアだった。

考えながら、無意識に家まで歩いてたみたい。

“今日の帰り道に伝える”って決めたのに、何してるんだ僕。


「しっかりしろ。じゃあな。」

小さく笑って、龍が背を向けた。



「え、あ!ま、待って!」

その袖を掴んで、必死に呼び止める。



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