2
2人っきりのいつもの帰り道だ。
でも、僕の心臓はバクバクと激しく音をたてている。
緊張して、動きがぎこちなくなってしまう。
いつ言おう?
どこで言えばいい?
何て言えば伝わるの?
「由希」
龍の声に、びっくりして肩が震えた。
思考の海から、あわてて身をあげる。
呆れ顔の龍は、穏やかな顔でとても残酷な発言をした。
「何ぼうっとしてんだ。着いたぞ。」
「え・・・。」
ど、どうしよう・・・!
もう家に着いちゃったんだ・・・。
確かに、目の前に在ったのは僕の家のドアだった。
考えながら、無意識に家まで歩いてたみたい。
“今日の帰り道に伝える”って決めたのに、何してるんだ僕。
「しっかりしろ。じゃあな。」
小さく笑って、龍が背を向けた。
「え、あ!ま、待って!」
その袖を掴んで、必死に呼び止める。
- 47 -
[*前] | [次#]
back