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龍が元の定位置に戻った。
だけど、帰ってきた日常は少しずつ違っていた。
あの告白から、妙に意識してしまう。
僕を好きだと言った健悟が今、何を思っているのか。
僕の好きな龍は、僕をどう思っているのか。
「由希。どうした。」
2人で帰宅中。
唐突に龍が発した言葉に、体が固まった。
「な、にが…?」
もしかしたら、僕の想いが知られたのかもしれない。
ごくりと唾を飲み込んだ。
「健悟と、何かあっただろ。」
「…あ…。」
なんで、知ってるの?
黄昏時の道の上で、僕は龍から目が反らせなかった。
「何があった?」
心臓がばくばく動いてる。
耳に拍動が伝わってくる。
「…なにも、ない…。」
必死で嘘をついた。
知られたくない
離れたくない
「…そうか。」
背を向けて歩き始めた龍。
深く追及されなかったことに安心した。
だけど、当時にすごくもの悲しくなった。
この気持ちは何なんだろう。
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