ぼちぽち | ナノ
2

龍が元の定位置に戻った。

だけど、帰ってきた日常は少しずつ違っていた。

あの告白から、妙に意識してしまう。


僕を好きだと言った健悟が今、何を思っているのか。

僕の好きな龍は、僕をどう思っているのか。


「由希。どうした。」

2人で帰宅中。

唐突に龍が発した言葉に、体が固まった。

「な、にが…?」

もしかしたら、僕の想いが知られたのかもしれない。

ごくりと唾を飲み込んだ。


「健悟と、何かあっただろ。」

「…あ…。」

なんで、知ってるの?

黄昏時の道の上で、僕は龍から目が反らせなかった。

「何があった?」

心臓がばくばく動いてる。

耳に拍動が伝わってくる。

「…なにも、ない…。」

必死で嘘をついた。

知られたくない
離れたくない



「…そうか。」

背を向けて歩き始めた龍。

深く追及されなかったことに安心した。

だけど、当時にすごくもの悲しくなった。


この気持ちは何なんだろう。


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