変化って何?
健悟に告白された。
自分は龍を好きだって気付いた。
だけど、僕は動けずにいた。
幼なじみで大親友。
僕の中の龍は、不動の存在だ。
常に傍にいる、大きすぎる人。
だから、単純に怖かった。
失うことなんて考えられない。
そう考えたら、思いを伝えることなんて出来なかった。
僕に、あんなに真っ直ぐに告白できた健悟はすごい。
だって、この気持ちは本来ならあってはならないはずだ。
男が男を愛する、だなんて相当勇気がなきゃできない。
だって周りはそういう人に冷たい。
そして、僕は動けなかった。
健悟も、言葉通りに今までと同じ“友達”だった。
『こわい』
変化が怖くてたまらない。
臆病な僕
勇気のある健悟
反対の僕らが選んだのは、皮肉にも同じことだった。
『このままでいい』
あぁ、誰かの言葉であった。
停滞は後退なんだっけ?
卑怯な僕は、このままでも十分なんだけど。
でも、やっぱり悲しいや。
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