心って何?
「男同士なのに・・・?」
「分かってる。それでも由希が好きだ。」
きっぱりと答える、ゆるぎない態度。
それとは逆に、僕の脳内はぐるぐると回っていた。
健悟の事は、もちろん好き。
大切でかけがえのない存在だもの。
だけど、それは「友達」として。
健悟のいう好きとは違う。
「俺なら、由希を独りになんてしない。」
真摯なその目に射られて、どきりとした。
「大切にして、2人で悩んで、2人で楽しみたい。」
温かい、夢のような話。
「悲しい想いも、寂しい想いも感じさせたくない。」
その幸せに、手を伸ばしたくなる。
「絶対に、裏切らない。」
ずっと、欲しがっていたものかもしれない。
僕だけじゃなくて、全ての人々が。
どんなことも一緒に乗り越えてくれる、あたたかくて優しい、絶対の恋人。
ここで健悟に頷けば、僕はその幸せを手に入れられる。
きっと、彼の愛に包まれて、ずっと笑っていられるんだろうな。
「・・・っ、」
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