2
右腕をひかれて、はっとした。
いつのまにか立ち止まっちゃってたみたいだ。
僕は、健悟に腕を引かれながら歩いた。
最近は1人で帰ってた道を。
あと何日で龍が帰ってくるのか、頭の中で唱えながら帰ってた道を。
何も言わずに、僕の少し前を歩く健悟。
その背中に話しかけることに、何でか躊躇した。
めったにない沈黙に、恐怖を感じた。
僕等は、ただ黙々と歩く。
いつも健悟と別れる十字路も通り過ぎた。
そのまま歩き続けて、着いたのは住宅地の脇の公園だった。
健悟に引っ張られるままに、ブランコに腰掛ける。
日も暮れた公園には、僕等以外誰もいなかった。
視界の端に、放置された砂の山がある。
- 34 -
[*前] | [次#]
back