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気持ちがしゅんとしぼんだ。
なんだか心細くて、うつむいてしまった。
だめなのに。
龍が困るだけなのに。
沈黙が、重い。
息がしにくくなった。
「由希」
呼ばれて、とくんと心臓が拍動した。
「由希」
さっきよりも優しい声に、のろのろと顔を上げる。
「変なこと気にすんなよ。」
おまえの悪い癖だ、と龍は軽いため息をつく。
「試合行きたいんだろ、由希は。」
久々にまっすぐに見てくれた龍が、少し間を置いてはっきりと言った。
「一緒に行ってやるから、安心しろ。」
ふ、と龍が目を細める。
口は緩く弧を描いている。
それは、すごく綺麗な笑みだった。
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