ぼちぽち | ナノ
6

気持ちがしゅんとしぼんだ。

なんだか心細くて、うつむいてしまった。

だめなのに。
龍が困るだけなのに。

沈黙が、重い。

息がしにくくなった。

「由希」


呼ばれて、とくんと心臓が拍動した。

「由希」

さっきよりも優しい声に、のろのろと顔を上げる。


「変なこと気にすんなよ。」

おまえの悪い癖だ、と龍は軽いため息をつく。


「試合行きたいんだろ、由希は。」

久々にまっすぐに見てくれた龍が、少し間を置いてはっきりと言った。


「一緒に行ってやるから、安心しろ。」

ふ、と龍が目を細める。

口は緩く弧を描いている。



それは、すごく綺麗な笑みだった。



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