ぼちぽち | ナノ
5

龍は、答えなかった。

自分の中から、答えを探してるみたいだった。


ブゥゥン、という扇風機の音がやけに大きく響く。

僕も龍も、じっと動かない。


これは現実なんだろうか。

あまりにも静かな今に、かすかな疑問がわいた。

「…何でなんだろうな。」

ぽつり、龍が呟いた。

何の感情もこもってないようにも、全てが詰め込まれているようにも聞こえた。

つまり、僕には分かんなかった。

龍が何を考えてるのか分かんなかった。


ずっと一緒にいるのに、こんなに近くにいるのに。

少し、寂しくて悲しかった。



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