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僕の腕を掴んだ龍の手は、うっすら汗ばんでた。
もう夏だから、扇風機なんかじゃ涼しさは全然足りない。
だけど、龍はクーラーが嫌いで、絶対にクーラーに頼ろうとはしない。
「ありがとう。」
何も言わずに、くるりと部屋に戻る龍の背中に言う。
ふん、と鼻で笑われた。
はい、と水色のソーダ味の棒アイスを渡す。
これが一番涼しさを感じるんだよね。
さっぱりしてて、おいしいからかな。
暑い部屋で、2人で無言でアイスを食べてた。
沈黙だったけど、全然苦にならなかった。
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