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ひかえめに聞いてみると、龍は僕の顔をちらりと見た。
「・・・別に。」
軽く息を付きながら、そう答える。
その後、首に片手を当てた。
さりげない自然な動作が、すごくかっこいい。
こういうのが似合うって、いいな。
「怖くなかったか。」
珍しく僕の目をまっすぐに見ながら、龍が尋ねてきた。
怖い、
「んー。別に怖くはなかったけど・・?」
記憶を思い返しても、こうやって龍と対峙しても、恐怖心は全く無かった。
龍は何の反応も示さずに、くるりと踵を返した。
質問の意味が分からなくて、僕は少しぽかんとしてた。
突然、離れていく背中が止まった。
龍は僕を振り返ると、呆れたように肩をすくめる。
「由希、遅い。」
あ、待っててくれてるんだ。
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