ぼちぽち | ナノ
3

ひかえめに聞いてみると、龍は僕の顔をちらりと見た。

「・・・別に。」

軽く息を付きながら、そう答える。

その後、首に片手を当てた。

さりげない自然な動作が、すごくかっこいい。

こういうのが似合うって、いいな。


「怖くなかったか。」

珍しく僕の目をまっすぐに見ながら、龍が尋ねてきた。

怖い、

「んー。別に怖くはなかったけど・・?」


記憶を思い返しても、こうやって龍と対峙しても、恐怖心は全く無かった。


龍は何の反応も示さずに、くるりと踵を返した。

質問の意味が分からなくて、僕は少しぽかんとしてた。


突然、離れていく背中が止まった。

龍は僕を振り返ると、呆れたように肩をすくめる。


「由希、遅い。」

あ、待っててくれてるんだ。


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