ぼちぽち | ナノ
優しさって何?

蝉の声が聞こえだした。

気温も上がって、外は熱気でむわっとしている。

ワイシャツが肌に張り付いてきて、少し嫌だ。

でも、まだまだ序の口。

僕の住んでるこの地区は、盆地なこともあって、夏はすごく暑い。

だけど、冬はすごく寒いんだ。

最悪な地形だよね。


蝉の声も、夏の盛りは、耳をふさぎたくなるほどの騒音だ。


そんな7月はじめ、僕は廊下で龍を見た。

クラスも一緒で、一緒に登下校してるし、毎日見てるんだけど。

その時、僕は僕の知らない龍を見たんだ。


“退屈そう”
そう思った。


龍は、同じ制服を着た男子生徒達を殴ってた。

喧嘩なんだろうけど、それはもう一方的な暴力だった。


龍は、金や赤の鮮やかな頭髪の生徒達を殴ったり、蹴ったりしてた。

相手は必死なのに、龍は全然本気じゃなかった。

でも、そんな龍の強さよりも、龍がひどく冷たい顔なのが印象的だった。

冷たくて、どうでもよさげで。


少なくとも、僕が知ってる龍じゃなかった。



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