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「ただいま。」
無人の家でも、なんでか挨拶してしまう。
誰もいないと、家がよそよそしく感じるからかもしれない。
僕が高校に入って、母さんはパートに出るようになった。
別にそれに不具合を感じることもない。
「ご飯、炊かなくちゃ。」
小さく呟いてみたけど、虚しく響いただけで、寂しさも余計に募ったみたいだった。
こんな時に、誰かに気軽に頼れたら。
きっと、すごい楽なんだろうな。
でも、そんな重荷になるようなこと、絶対したくない。
僕はそでをまくって、キッチンに向かった。
嫌われたくない
離れて欲しくない
胸の奥の黒い感情が、早く消えてくれますように。
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