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それが龍の口癖だった。
小さい頃から、そう言って、傍にいてくれた。
どんなことでも、どんな場所でも、2人でいれば、無条件に楽しめた。
だんだん龍は、大きく、そしてかっこよくなった。
無愛想で、長身で、強くなった。
小学校でも中学校でも、龍は傍にいてくれた。
だけど、いつからだろう。
なんだか、寂しいんだ。
2人の間に、大きな溝が出来ちゃったみたいだ。
昔はよく繋いだ手も、今はポケットの中に納まっている。
笑い顔も減ったし、口数も減った。
しっかりと目も会わせてくれなくなってきた。
傍にはいてくれる。優しい。
昔と変わらないのに、全然違う。
共有できていないんだ。
2人の間に秘密も出来て、違う知り合いも出来たから。
龍は夜遊びもするようになったし、綺麗な女の人と歩いてることもあった。
僕の知らない大人になっていく。
なんだか、すごい寂しい。
「じゃあ、また明日ね。」
僕の家の前で立ち止まった龍に、手を振る。
龍は、「あぁ」と頷いた。
隣だっていうのに、最後まで見送ってくれる。
やっぱり優しい。
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