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じゃぁな!と笑って健悟は手を振る。
僕と龍は2人になった。
僕がぽつぽつと話すけど、龍は頷いたり返事をしたりするだけ。
自分から進んで話してくれることは、ほとんど無い。
なんとなく寂しい帰り道。
いつもの沈黙を背負いながら、ゆっくり歩く。
家が隣同士だった。
年も近かった母さん達は、すぐに仲が良くなった。
そして、2人は同じ年に男の子を出産した。
ますます仲良くなった2人は、今でも2人で買い物に行ったりする。
近所の人は「まるで姉妹みたいだ」と噂する。
だから、そんな僕と龍は幼稚園に入る前からずっと一緒だった。
由緒正しい幼なじみ。
一番の親友。
幼稚園には、意地悪な子がいた。
でも、僕には龍がいて、守ってくれた。
龍は他の子とは全然遊ばなかった。
僕の隣にずっといて、2人でいろんな事をして遊んでた。
『ゆきは、おれの!』
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