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「でも、いいねコレ。普通にうまい。」
僕の手に戻ってきたパンを指差して、健悟がにこりと笑う。
「普通に・・・?」
僕みたく平凡に、ってこと?と聞くと、健悟は頭を撫でてきた。
「俺にとっては、由希は全然平凡じゃねぇな。」
可愛い可愛い、と撫でてくれるのはいいけど、すごく子ども扱いされてる気がする。
それになんで僕が可愛いのさ。
誰よりも平々凡々な自信があるんだけど。
でも、よく分かんない表現。
隣の龍を見ると、龍は小さく溜息をついた。
「あんま気にすんな。うまいなら、それでいいだろ。」
ふぅん。
「だね。おいしいし、いいや。」
小さく頷いて、パンにかぶりつく。
窓の外は透き通るような青空で、7月の太陽は眩しく光り輝いていた。
幸せな、普通の日常。
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