ぼちぽち | ナノ
7

「でも、いいねコレ。普通にうまい。」

僕の手に戻ってきたパンを指差して、健悟がにこりと笑う。

「普通に・・・?」

僕みたく平凡に、ってこと?と聞くと、健悟は頭を撫でてきた。


「俺にとっては、由希は全然平凡じゃねぇな。」

可愛い可愛い、と撫でてくれるのはいいけど、すごく子ども扱いされてる気がする。

それになんで僕が可愛いのさ。

誰よりも平々凡々な自信があるんだけど。


でも、よく分かんない表現。

隣の龍を見ると、龍は小さく溜息をついた。


「あんま気にすんな。うまいなら、それでいいだろ。」

ふぅん。


「だね。おいしいし、いいや。」

小さく頷いて、パンにかぶりつく。


窓の外は透き通るような青空で、7月の太陽は眩しく光り輝いていた。



幸せな、普通の日常。



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