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「いらねぇ。」
おにぎりを食べていた龍は、眉をしかめた。
「お好み焼き、嫌いだっけ?」
そんな記憶ないんだけど、と首をかしげる。
「健悟と間接キスとか、無理。」
あ、そっち?
まだ知り会って3ヶ月目だし、恥ずかしいのかな。
龍って案外シャイ?
「んー…。」
健悟が食べた部分を、自分でまた食べる。
「はい。」
そして、龍に差し出す。
「僕ならいいでしょ?」
間接キスなんて、もう慣れっこ。
だって本当にずっと一緒だし。
そう言って笑うと、龍はチッと舌打ちをして受け取った。
「うるせぇな。食えばいいんだろ。」
パンを引きちぎるように食べて、龍は呟いた。
「・・・確かにお好み焼きの味しかしねぇ。」
「なんだよー。皆同じ感想じゃん。」
健悟が声をあげて笑う。
僕もつられて、笑ってしまった。
龍だけは笑ってなかったけど。
その雰囲気は優しかった。
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