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俺になのかと首を傾ければ、赤い頬で何度も頷かれた。
「ありがとう」
甘いものは好きだし、その仕草は控えめで可愛らしい。
緩んだ顔でお礼を言えば、周りの他の奴らまでよってきた。
悪意は感じられないが、矢継ぎ早な質問たちに戸惑う。
助けてもらおうと、先ほどまでマシンガントークをしていた友人を探す。
…え、あれ。
なんでいないわけ!?
目立つこととか騒がしいことが苦手な俺は、内心焦りながらも相手を強く拒めない。
自分のせいで人に泣かれるのが、この世で一番嫌なんだよな。
「そこまでにしろよ!」
スパンっと開いた扉、まっすぐに飛んできた言葉。
静まり返る教室の視線の先にいたのは、噂の有名人の編入生、渋谷だった。
ボサボサの黒髪と厚いメガネで、オタクというより不審者に近い外見。
そして見た目に合わない、ハキハキした明朗な口調と強い態度。
うわ―、どうしよう。
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