キリリク | ナノ
2


俺になのかと首を傾ければ、赤い頬で何度も頷かれた。

「ありがとう」

甘いものは好きだし、その仕草は控えめで可愛らしい。
緩んだ顔でお礼を言えば、周りの他の奴らまでよってきた。

悪意は感じられないが、矢継ぎ早な質問たちに戸惑う。
助けてもらおうと、先ほどまでマシンガントークをしていた友人を探す。

…え、あれ。
なんでいないわけ!?

目立つこととか騒がしいことが苦手な俺は、内心焦りながらも相手を強く拒めない。

自分のせいで人に泣かれるのが、この世で一番嫌なんだよな。


「そこまでにしろよ!」

スパンっと開いた扉、まっすぐに飛んできた言葉。

静まり返る教室の視線の先にいたのは、噂の有名人の編入生、渋谷だった。


ボサボサの黒髪と厚いメガネで、オタクというより不審者に近い外見。
そして見た目に合わない、ハキハキした明朗な口調と強い態度。


うわ―、どうしよう。
- 46 -


[*前] | [次#]



back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -